ある日の除染風景

汚染状況重点調査地域とは、市民の生活圏内に深刻な放射能汚染が存在するため除染が必要と国に判断された指定地域のことです。そこでは1mの高さで空間線量が0.23マイクロシーベルト/毎時以下に収まるように国の基準値が定められていて除染作業が進められています。

先日福島県のある街で除染作業を見かけました。作業は早朝から暗くなるまで続けられていました。除染作業関係者が次のような話を聞かせてくれました。
「日本全国から集まる除染作業員の一部に犯罪を犯すものがいる。そのせいで除染作業員(会社)全体が悪い目で見られたり差別されて困っている。関係ないのに会社に嫌がらせの電話がかかってくることもある」
※掲載写真は上記の理由により会社や作業員個人が特定できないよう加工を施してあります。

日常の中に、このような光景が違和感なくなじんでいる福島の現状。横を通る人たちは除染作業を気にする様子がありません。東京から訪れた私には異様に見えます。

人口の多い街の中心地です。人通りも多く、除染作業をしているすぐ横を未就学児の手を引いたお母さんが通り過ぎていました。下の写真は先生に引率される小学生たち。校外授業へ出かけてる途中だと思いますが、やはり除染作業中の現場のすぐ横を大勢で通過していました。中学生や高校生もたくさん通っていました。

目にした除染作業
《植樹帯》1.除草する。→ 2.表土を削って線量を少し下げる。(それでも高い) → 3.仕上げの土(砂)をいれる。覆土により放射線が若干遮蔽される。

アスファルト舗装面》水洗い。作業には手押し式の機械を使っていました。水を送るホースと吸い取るホース、先端には回転式のブラシがついているようです。水で路面をぬらしブラシで擦り取る、同時にその水を吸い上げる掃除機のような機械。ホースの取り回し上、水のタンクを乗せたトラックが近くにとめてあり、ホースが届く一定範囲の作業を済ませたら移動しながら作業していました。水しぶきが少し舞い上がっていて気になりました。通行人への配慮で歩道に面した柵にベニヤ板を立てかけて作業してる場所もありましたがすべての場所ではありませんでした。またベニヤ板での遮断が霧のような水しぶきに対し十分とは思えませんでした。水の舞い上がりは高圧洗浄より遥かに少ないです。

《雨水集水桝》手作業によりスコップなどで汚泥をかき出していました。雨水集水桝は放射性物質が特に集まる場所ですのでとても危険な作業です。作業員の方の被ばくが心配です。

福島をはじめとした汚染状況重点調査地域では、放射性物質汚染対処特措法に基づき、現状より汚染を軽減する努力がされています。しかし東京は地域指定されていないため現状の汚染を軽減する措置を積極的に行ってくれません。東京も3.11以前と比較すれば高い汚染があるのにその不安は放射性物質汚染対処特措法により我慢をさせられています。そのため子どもたちの環境にあるマイクロホットスポットすらも無策で放置されたままです。